2021-22年 香港財政年度 政府財政予算案
1.香港の歳入・歳出
2021-22年度予算における歳入額は5,911億香港ドルで、対本年度修正予算比8.8%増、歳出額は7,278億香港ドルで、同比11.3%減。
2020-21年度の財政赤字は過去最大の2,576億香港ドルとなる見込み。コロナ禍の影響で歳入が減少する一方、経済と市民生活を支援するための歳出が増加したことが主な原因。
また、2021-22年度予算の財政赤字は1,367億香港ドル。351億香港ドルのグリーンボンド(環境債)起債分を含めても1,016億香港ドルと予想され、これは香港のGDPの3.6%に相当。2021-22年度から2025-26年度にかけても、公債の起債、償還を除いて、財政赤字が予想されている。
2.香港の経済
2020年度は1962年以降最悪の落ち込みとなったが、2021年は3年ぶりのプラス成長を予測
2019年 | 2020年 | 2021年予測 | |
---|---|---|---|
GDP成長率 | -1.2% |
-6.1% |
3.5% to 5.5% |
3.香港の税務
(1)事業所得税(法人税)
2020/21課税年度は事業所得税額の100%減免を継続(上限HK$10,000)
(2019/2020課税年度は事業所得税額の100%減免、上限HK$20,000)
(2)個人所得税
2020/21課税年度は個人所得税額の100%減免を継続(上限HK$10,000)
(2019/2020課税年度は個人所得税額の100%減免、上限HK$20,000)
①税率:変更なし
2019-20年度 | 2020-21年度 | ||
---|---|---|---|
課税所得(HK$) | 税率 |
課税所得(HK$) | 税率 |
50,000まで | 2% |
50,000まで | 2% |
50,001から100,000まで | 6% |
50,001から100,000まで | 6% |
100,001から150,000まで | 10% |
100,001から150,000まで | 10% |
150,001から200,000まで | 14% |
150,001から200,000まで | 14% |
200,001以上 | 17% |
200,001以上 | 17% |
標準税率 | 15% |
標準税率 | 15% |
②控除額:変更なし
内容 | 2019-20年度(HK$) | 2020-21年度(HK$) |
---|---|---|
基礎控除 | ||
独身者 | 132,000 | 132,000 |
既婚者 | 264,000 | 264,000 |
寡婦(夫) | 132,000 | 132,000 |
障碍者 | 75,000 | 75,000 |
子供控除(第1子から第9子まで) | ||
出生年度 | 240,000 | 240,000 |
翌年度以降 | 各 120,000 | 各 120,000 |
父母・祖父母扶養控除(60歳以上) | ||
基礎控除 | 各 50,000 | 各 50,000 |
付加控除(同居の場合) | 各 50,000 | 各 50,000 |
父母・祖父母扶養控除(55~59歳) | ||
基礎控除 | 各 25,000 | 各 25,000 |
付加控除(同居の場合) | 各 25,000 | 各 25,000 |
兄弟姉妹扶養控除 | 各 37,500 | 各 37,500 |
障碍者扶養控除 | 各 75,000 | 各 75,000 |
内容 | 2019-20年度(HK$) | 2020-21年度(HK$) |
---|---|---|
自己学習費用 | 100,000 |
100,000 |
住宅ローン控除 | 100,000 |
100,000 |
指定慈善寄付金 | 課税所得×35% |
課税所得×35% |
高齢者在宅介護費用 | 100,000 |
100,000 |
退職金制度への強制積立 | 18,000 |
18,000 |
任意健康保険スキーム(VHIS)適格保険料 | 8,000 |
8,000 |
適格年金保険料及び税控除MPF任意保険(TVC) | 60,000 |
60,000 |
(3)その他
- 2021-22年度の商業登記料の免除
- 100%政府保証ローンの延長及び借入限度額の増額
- 非住宅物件の固定資産利用税(レーツ)の上限付き免除(第1、2四半期各5,000香港ドル、第3、4四半期各2,000香港ドルまで)
- 企業に対する水道料金、下水道料金の75%免除を8ヶ月間継続(それぞれ1ヶ月当たり上限20,000香港ドル、12,500香港ドル)
- 住宅物件の固定資産利用税(レーツ)の上限付き免除(第1、2四半期各1,500香港ドル、第3、4四半期各1,000香港ドルまで)
- 住宅用電気代の補助金1,000香港ドル付与
- 電子商品券1人あたり5,000香港ドル発行
- 失業者への1人あたり80,000香港ドル上限の無担保融資(在職中の平均月収の6倍まで)
- 株式譲渡にかかる印紙税率を、各取引の譲渡価額相当の0.1%から0.13%へ引き上げ